忠犬ポチ公

と、その時、

「お！お前、田口か！」飼い主がボクを見て言った。

「おー！前橋か！久しぶりだなあ！」

「どうしたんだ。この町に戻ってくるのか？」

「いや、大学の説明会に行ったついでに、懐かしくて立ち寄ってみたんだ」

「そっか、元気にしていたみたいだな」

「あっ、もしかしてその犬は･･････」

「おうよ！あの時お前と一緒に拾った奴だよ！」

つまりその犬はあの時一緒に公園に捨てられていたポチ公の兄弟だった。

「もう1匹は･･･伊藤咲子っちだっけ？あそこのワンコも元気にしてるのか？」

「おう、元気すぎるくらいだわ」

「そっか。皆元気にしてるのか･･･いいなあ」

「いいなって、お前っちのワンコ、どうかしたんか？」

「それがさ･･････」

ボクはポチ公が家出した話をした。ボクが怒ったりぶったりしたことはナイショにしておいたけどね。

「そう言えば･･･コイツに似たようなワンコを見たような気もするけど･･･」

「ホントか！」

「いや、コイツに似た犬ってけっこう多いから、お前んとこのワンコかどうかは分からんよ」

「そうだよなあ」

「また見かけることがあったら、知らせるよ」

「ああ、頼むわ」