忠犬ポチ公

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翌朝、朝練に行く途中、美枝子を見かけた。 でも「おはよう」なんて言えなかった。 だって、キャプテンの橋本と・・・仲良くっていうかイチャイチャしながら歩いてたんだもん! からかうほど仲が良いわけじゃないし、すれちがって知らん顔しているのもマズイから、なるべく近づかないようにゆっくり歩いた。 「あいつら、仲いいよな」 後ろからパシンと背中を叩かれた。 同じく体操部の山本だった。 「お前、美枝子を狙ってただろう」 ニヤニヤしながらボクの顔を覗き込んできた。 「そ、そんなことないよ!」 「誤魔化したってだめだめ!バレバレだっての」 からかわれた。 「早いとこ諦めた方がいいぜ。お前にはムリムリ!」 「うるせーな!関係ないだろ!」 ボクらの声が聞こえたのか、美枝子と橋本が振向いて、「おはよう!」と、こっちに向かって手を振った。 実に面白くない! ボクが美枝子と仲良くなれないのはポチ公のせいではなかったけど、それでもボクは一日中ムシャクシャして、ポチ公に当たり散らした。 「ほれ、メシだぜ」そう言いながらホホをひねってやった。 「キュイン!」 恨めしそうな悲しそうな目で見上げながらすり寄ってきたが、 「うるさい!寄ってくるな!お前なんか嫌いだ!どっかに行っちまえ!」 ついそんなことを言ってしまった。 翌朝、ポチ公はいなくなっていた!
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