忠犬ポチ公

何日も探し回ったけど、見つからない。

見かけたよという話もきかない。

近所にはいないんだろうな。

いたら誰かが見かけたりするはずだ。近所の人は皆ポチ公のことを知っているんだもの。

もっと広い範囲を探すって、どこを探せばいい？

自転車で探せる範囲には限りがあるし。

これというあてもないのに、どこを探したらいいんだろう。

そうしている内に1年が経ち、2年が過ぎ･･････。

ボクは高校生になっていた。

ポチ公の小屋はそのまま残っているけれど、もう前のように探し回ることもなくなっていた。

それでも公園や路地などでは無意識にポチ公の姿を探してしまう。茶色い犬を見ると目で追ってしまう。追いかけたり呼んでみたりする。ついそうせずにはいられない。

家では夕食のときにポチ公のことを話さなくなっていた。

誰も忘れたりはしていない。ただ、手の尽くしようもないから、話すと悲しくなるから、ポチ公の話題を避けていたのだ。

お祖母ちゃんが一番寂しそうだった。

毎日何度も犬小屋を見にいって、

「はよ帰っておいでよ」そういって小屋の前にビスケットなどを置いていた。