忠犬ポチ公

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ポチが我が家にやって来たのはボクが小学校6年生の時だった。 卒業式も近づいたころ、クラスの皆でハイキングに行った。 行き先は隣町の野山公園。 街のはずれ、山のふもとにあって、子どもにも無理がないハイキングコースとして丁度よく、家族でもときどき行ったことがあった。 校庭よりうんと広いので皆で散々走り回って、お腹がペコペコになって、お弁当を食べているときだった。 「キュィーン・・・キュイーン」と茂みのほうから鳴き声がして・・・。 茂みから子犬がチョコチョコと寄ってきた。 「キュィーン・・・キュイーン」「キュィーン・・・キュイーン」 後から2匹、トコトコとやって来た。合計3匹だ。 「かわいい~!」 まず女子が大騒ぎだ。 抱き上げると、ホホをペロペロ舐めて、お弁当の方を見ては鼻をヒクつかせている。 「キュィーン・・・キュイーン」「キュィーン・・・キュイーン」 「お腹が空いているんだよ!」 子犬をそのまま放っておけず、家で飼ってもらえそうな子が連れて帰ることになった。 「田口んちは庭があるから、大丈夫なんじゃない?」 そう言われてボクが1匹連れて帰ることになった。 あと2匹は前橋と、伊藤咲子が連れて帰った。
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