キラキラじゃなくても

1/9
前へ
/9ページ
次へ
「ねえ、ナナちゃん。将来、何になりたい?」 ああ、まただ。最近、寄ると触るとこの話ばかりで、ちょっとうんざりする。でもそういう年頃だから、しょうがないのかもしれない。 「うーん……まだあんまり決まってない、かな」 「もう、ナナちゃんは呑気なんだから! 先のこと考えるなら、そろそろ進路決めないと」 いちおう友達のサンちゃんは、先生みたいな目つきでビシッと言い放った。 判ってる。そんなこと、判りすぎるぐらい判ってる。でもその “ 先のこと ” が全然見えてこないのだからしょうがない。 「じゃあ、サンちゃんは?」  サンちゃんは心なしか、つんと鼻先を上げた。 「サンも完全に決めたってわけじゃないけどさ。でもうちのママは、サンをアイドルにしたいみたいなの」 ――聞くんじゃなかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加