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「ねえ、ナナちゃん。将来、何になりたい?」
ああ、まただ。最近、寄ると触るとこの話ばかりで、ちょっとうんざりする。でもそういう年頃だから、しょうがないのかもしれない。
「うーん……まだあんまり決まってない、かな」
「もう、ナナちゃんは呑気なんだから! 先のこと考えるなら、そろそろ進路決めないと」
いちおう友達のサンちゃんは、先生みたいな目つきでビシッと言い放った。
判ってる。そんなこと、判りすぎるぐらい判ってる。でもその “ 先のこと ” が全然見えてこないのだからしょうがない。
「じゃあ、サンちゃんは?」
サンちゃんは心なしか、つんと鼻先を上げた。
「サンも完全に決めたってわけじゃないけどさ。でもうちのママは、サンをアイドルにしたいみたいなの」
――聞くんじゃなかった。
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