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同級生の男子
「最悪……」
開口一番に、そう独りごちる。
最悪な目覚めだった。よりにもよって、あの日のことを夢に見てしまうなんて。夢の中でさえもあいつに支配されているような気がして、ぞっとする。
あの日の出来事はあまりにも衝撃的で、脳が通常運転に戻るのに、冬休み全部を費やした。
友達と日帰り旅行に行く約束までしていたのに……休みに入る前に仲良しグループみんなで、楽しみだな、と言い合って、心待ちにしていたのに。
結局、みんなで立てた遊びの計画は、おじゃんになってしまったけれど……あの時どういう理由をつけて「行けない」と告げたのだったか。
みんなが一切の躊躇もせずに中止を決めたので、申し訳なく思ったのは覚えている。
「私抜きで楽しんできて」と言ったら、みんなは口々に「何言ってんだよ!」と怒鳴った。
自分で言っておいて何だが、私がいないところでみんなが楽しんでいる、というのは結構心にくるので、怒られた時は嬉しかった。私がいないと意味がない、と言外に伝えられて、良い友達を持ったなと荒んだ心に友情が沁みて、ボロ泣きしてしまった。
嗚咽を漏らす私の背中を、優しく撫ででくれた友人たちへ思いを馳せていると、少し気分がマシになってきた。
でも……その唯一無二の友人たちに、泣いている理由を話せなかったことを思い出し、また心に影がさす。友人たちは何も言わずに、私を抱きしめてくれた。その優しさが逆に辛かった。
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