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「お姉ちゃんがいなくなって、寂しいのよ。我が子を可愛がりたい気持ちはあるんだけど、お仕事が忙しいしね。受け取っておきなさい」
「はーい」
「いってきまーす!」と言ってから家を出る。どんなに忙しくとも挨拶は忘れない。我が家の家訓だった。お母さんからも「いってらっしゃーい」と返ってくる。
早足でいつもの通学路を歩く。
吐く息が白い。三月とはいえ、朝はまだまだ寒い。
もうすぐ二年生か。クラス替え、良い結果が出るといいんだけど。
スピードを出しながら、ぼんやり考え事をするべきではなかった。
いつもの曲がり角を曲がろうとした瞬間、向こう側から人が来ていたというのに、気づくのが遅れて、勢いよくぶつかってしまった。
「わーっ! すみません。本当にすみません! 大丈夫です……か……」
相手の顔を見て、目を皿にする。
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