同級生の男子

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 「えっ! 若林君……!?」  「あっ——ち、ち……」  若林君は、私と同様目を見張って、パクパクと口を動かしている。  若林君は、クラスメイトの男子だ。  しかし彼は、二学期が始まってからすぐに不登校になってしまった。それからずっと昨日まで学校に来ていなかったのに……。  目の前の若林君は、制服を着ていた。気まずそうに俯き、決して目を合わせようとしない。何か喋るべきだと思うのに、何を言うのが最適なのかわからない、というように、口をもごもごさせていた。  「学校また行くことにしたの?」  「う、うん」  「そっか。あ、ごめんね。ぶつかっちゃって。怪我とかしてない?」  「だ、大丈夫。何ともないから……」  「そうだ! 今日の授業はビジネス用語について学ぶらしいよ。色々ややこしいカタカナ言葉の意味を教えてもらえるんだって。あ、あと今の体育はバスケをやってて——」  「あ、あの……じゃあ俺、行くから! ぶつかってごめん!」  「あっ、ちょっと……!」  呼び止めようとするが、すでに若林君の姿は遠くにある。競歩のように突き進んでいく後ろ姿を見て、怖がらせちゃったかな……と後悔する。  「しばらくぶりの登校だもんね。少しでも学校が楽しみに思えるように気を回したつもりだったけど、逆効果だったかな……何で学校来なくなっちゃったのか聞きたかったけど、あの調子なら聞かなくて良かった」
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