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 ただ手を繋いでるだけなのに…なんかすごい…。  エッチな気分になっちゃう…  りっくんの小指を親指でキュッと押さえたら、りっくんがふっと笑った。  そのまま、家までずっと手を繋いで帰った。途中でりっくんに「家に連絡した?」って言われて、慌てて母にメッセージを送った。僕は片手でスマホを使えないけど、どうしても手を離したくなかったからスマホを膝にのせてメッセージを打った。 「やりづらいだろ」  って言ったりっくんが繋いだ手を離そうとしたから、ぐっと握り込んで離せないようにした。唇を噛んでりっくんを見つめたら、りっくんは切長の綺麗な目を見張った。その目元が朱を帯びる。  離さないもん  揺れる車内で『軽い熱中症。もう平気。タクシーで帰る』ってメッセージを送った。  あ、もう一言。 『りっくんと一緒』  最後の一文を送ると同時に母から『大変!』ってメッセージがきた。でも、そのすぐ後に『なら大丈夫ね』って送られてきた。それから、 「りっくん、タクシーのレシート絶対持ってきてってお母さんが」 「ん? いいのに別に」  そういえばお金のこと何も考えてなかった。  甘えてるなぁ…  家に着いたら、すぐ母が玄関から出てきた。 「おかえり空、大丈夫? 律くんありがとね、お迎え」 「いえ、元々帰り道なんで…」  りっくんが首を横に振って応えると、母がじっとりっくんを見上げた。 「でも途中下車面倒でしょ? 駅から学校までもそれなりの距離あるし。それをわざわざ迎えに行って、荷物も持ってタクシー呼んでって。ほんとにありがとう。タクシーのレシートちょうだい」  はい、って出された母の手のひらに、りっくんは不承不承という顔でレシートをのせた。 「今日はどうするの?空。休む?」  玄関ドアを開けながら母が訊いた。 「あ、ううん。学校で休んだし、もう大丈夫だから勉強する。中間もうすぐだし」  つい、後ろ手にりっくんのシャツを掴んだ。  週に2回しか会えないのに、無しにするなんてありえない。 「ふーん。じゃ、無理しない程度にね。まあ、律くんが見ててくれるなら大丈夫か」  母が「どうぞ」ってりっくんにスリッパを勧めた。  キッチンに向かう母の後ろ姿を見送って、りっくんを見上げた。 「…僕の部屋、2階、だから…」  ドキドキ、してくる。 「ん」  軽く頷いたりっくんの袖を摘んで階段を昇る。ドキドキしすぎて視界が揺れて、自分家の階段なのに踏み外しそうになった。 「どしたの?空。だいじょぶ?」 「う、うん。ちょっと…緊張しちゃって…っ」  自分の部屋に好きな人を入れるのは、初めて。    ノブを引いて、りっくんを招き入れた。  掃除はちゃんとしたつもり…っ 「キレイにしてるなー。なんか空の部屋って感じ。かわいい」  りっくんの言葉にホッとした。  かわいい、かどうかは分かんないけど。 「あ、りっくん荷物ありがとう。ごめんね、ずっと持ってもらって」 「全然いいよ。どこ置くの?」  ここ、って机の横を指差したら、音もしないくらい丁寧に置いてくれた。  そしてりっくんは自分のバッグはどさって置いた。  長い腕が伸びてきて、容易く僕を掴まえる。ぎゅうっと抱きしめられて溺れそうになる。 「…空、よかった、たいしたことなくて…」  耳元で、はぁー…って深いため息が聞こえて、りっくんの背中にしがみついた。 「すっげぇ心配したんだからな。マジで」 「…うん…。ありがとう、りっくん…」 「あと…、弟って言ってごめんな…」  苦い声でりっくんが言った。 「ううん…いい。…溺愛、されてるし…」  りっくんの胸にすりすりと頬を寄せていたら、階段を昇る足音が聞こえてきた。  まずい
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