空合

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 翌朝、教室に入った途端広哉くんと目が合った。  いつもみたいに「おはよう」なんて、とてもじゃないけど言えなかった。  冷たい目で睨まれて、そして思い切り逸らされた。  まぁちゃんとも何となく気まずくて話せなかった。  俯いたままの一日を過ごし、帰ってため息を吐く。  そんな毎日が続いた。  遠足の日から四日目の夕方、慌てた様子のお母さんから突然「今から群馬のおばあちゃんの家に行く」と言われた。  とりあえず大急ぎで荷造りを始める。 「暫く向こうにいる予定だから…」 「え…じゃあ学校は?」 「二週間くらいお休みかな…」 「二週間⁈」  私は荷造りを中断して学校へ向かった。  二週間学校を休む代わりにと言ってお母さんから572円を貰った。  4428円と貰った572円を入れた封筒に 『ごめんなさい』  と書いた。  小銭で分厚くなったその封筒を折り曲げて広哉くんの上履きに押し込んだ。  お金はちゃんと払ったし、二週間後に学校に行った時にはまた普通に話せる様になるはず。  そう思ってた。
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