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7年後、たまたま偶然同級生と再会したのがきっかけで私は広哉くんと会う事になった。
「…久しぶり」
「久しぶり」
残念な成長をしていてくれたら笑ってやろうと思ってたのに、悔しいな…。
レトログレーの外観に差し色のスカイブルーのオーニングがオシャレな駅前の喫茶店に入り、向かい合わせに座った。
「あんまり変わってないね」
「まぁ…そっちも」
「元気そうだね」
「まぁ…そっちも」
「わざわざ群馬県まで来なくても良かったのに…」
「いや、俺が来るべきだったから」
「え?」
「ごめん」
そう言って広哉くんはバッグから何かを取り出した。
「…あ、これ」
テーブルに置かれた見覚えのあるそれは、私が7年前に広哉くんの上履きに押し込んだ封筒だった。
「本当にごめん‼︎悪かった」
頭を下げたまま上げる気配がない。
「私、思ったんだけどさ…あの時計」
「…ごめん。多分思ってる通りです」
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