空合

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 今だから笑って話せる。  あの時計、ただ電池が切れただけだった。  ホントしょーもない。 「いいよ、もう別に」 「あんな言い方して傷付けて、金払えなんてマジでクソだった」 「あのさ…」 「何?」  広哉くんがバッと顔を上げた。 「いや…あの、何で5000円だったのかな?って…」 「分かんねぇ。ただの思いつきでそう言ったんだと思う。ごめん」 「あ、そう…」 「上履きにコレ入っててヤベぇって、返さなきゃって思ってたのに倉橋…学校来ないしそのまま転校しちゃうし…俺のせいだって思ってた」 「え⁈違うし」 「ずっと親に言えなくて隠してたんだけど『時計が壊れた』って言って見せたら、『電池切れじゃないの?』って言われて…本当にずっと後悔してて、謝りたくて…」
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