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お気に入りの時計を壊された小学生があんな風に怒るのも仕方ないよな…なんて
高2になった今なら「かわいいもんだ」と許せてしまう。
そしてもう一つの痛みにも今なら向き合える。
「まぁちゃんとは?」
「は?」
私だけを責めた理由。
「好きだったでしょ?まぁちゃんの事」
「あぁ、まぁ…あん時はそうだったかも」
「付き合ってないの?」
「ないよ」
「両想いだったのに?」
「…倉橋がいなくなった頃からアイツとは喋んなくなったし、今はもう連絡先すら知らない」
「私のせいみたいに言うのやめてー」
「……いや、倉橋のせいだと思う」
「えー…」
「ずっと倉橋の事ばっかり考えてた」
「ごめん…急に転校するなんて私も思ってなかったからさ。そんなに気に病んでたなんて、悪かったね…」
「…」
「ほら、コーヒー飲みなよ。私奢るからさ‼︎臨時収入入ったし」
封筒を開けたら旧千円札が出てきた。
「相葉くん見てコレ‼︎前のやつだよ。ウケるー」
「昔みたいに名前で呼んでくれないんだな」
「ん?あぁ、なんか馴れ馴れしいかなって思って…」
「そんな風に思ったりしないよ」
「そう?じゃあ昔みたく広哉くんって呼ぶね」
「…俺も名前で呼んで良いかな?」
「え?あぁ、うん…まぁ別にハイ」
少し温くなったミルクティーを飲んで顔を隠す。
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