ちょっとしたことで

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ちょっとしたことで

静けさだけが広がる深夜の公園。コンビニで購入したロング缶をあおり、なつかしい思い出に浸たる。田村慎一は、日々の残業に疲れ果て、懐かしの遊び場で心を休めようとしていた。 「……あの頃は無邪気だったよなぁ……」 誰もいないはずの公園でザク……ザク……と足音のような音が鳴り、だんだんそれが近くなって、慎一はこわばった。 「慎一さん、久しぶりだね。」 背後から聞こえる声に振り返ると、そこにはかつての仲間、冒険者のレイラが微笑みながら立っていた。懐かしい笑顔が、慎一の心をほんのり温かくさせた。 「レイラか。まさかこんなところで再会するとはな。」 二人は幼少期、この公園で冒険ごっこを楽しんだ仲間だった。しかし、何年も経ち、それぞれが違う道を歩んでいった。 「冒険者としての仕事があるんだ。君も一緒に冒険に出てくれない?」 レイラの誘いに、慎一は当然のように首を振る。 「子供じゃないんだから。もう。ごっこ遊びなんて……つまんない、サラリーマンになっちゃったね。」 しかし、レイラは微笑みを浮かべながら言った。 「君には秘密の力が宿っている。それが分かる時が来るよ。」 「秘密の力?冗談じゃないのか?」 慎一は首を傾げながらも、レイラの瞳には確かな自信が宿っているのを感じた。深夜の公園が神秘的な雰囲気に包まれ、未知の冒険が待ち受けているような気配がした。 「慎一さん、変わらないのね。まだ夢と冒険の心を持っている。」 レイラの言葉が、慎一の心の奥底で眠っていた何かを揺り起こした。彼はなぜか懐かしさと切なさを感じながら、再びレイラの冒険に巻き込まれることを決意した。 次の瞬間、公園の空気が変わった。光り輝く粒子が舞い散り、夜空には星々がより輝きを増していた。慎一の周りには見慣れないエネルギーが漂い、彼はまるで魔法のような雰囲気に包まれているようだった。 「君にはまだ見ぬ世界が広がっている。冒険者としての扉を開けよう。」 レイラの手招きに応じて、慎一は深夜の公園から未知の冒険の扉へと歩き始めた。背後には遠くても懐かしい公園が広がり、彼の心は新しい夢と冒険への興奮で満たされていった。 ……そんな冒険を思い今日も俺は残りのビールを飲み干す。
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