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誰だお前
「おまっ、何するつもりだ…」
なぜか俺が押し倒されている。なんでこうなった?
俺は、この街で結構有名な不良生徒だった。みんな俺を見ると逃げていった。俺はそんなに悪いことをした覚えはないんだが…悪い奴らとずっとつるんでたからかな。
俺が廊下を歩いていくとさあっと人が避ける。嫌な気持ちはしないが、そうしたい訳でもなかった。しかし、学校内で1人だけ、俺の前を堂々と歩く奴がいた。そいつは、どんなに人が隅によけても、自分がよけることはしなかった。俺はそいつを見る度に気になる気持ちが増していった。
「なあ、あいつなんなん?」
不良仲間に聞いてみた。情報収集は大事だ。
「あいつ生徒会長らしいっすよ」
なるほど、だから俺なんか見向きもしないわけだ。自分の方が偉いから。なんだ、ムカつくなあいつ。振り向かせてやる。
俺は、人に避けられることで自分が偉い人だというおかしな自信を作り出していた。俺より偉い者はいない、俺が1番偉い、そう思っていた。それなのにあの生徒会長とやらは俺に見向きもしないのだ。俺のプライドが許さん。
しかし。自分から声をかけるというのは駄目だ。それはあいつの方が偉いと自分から言っているようなものだ。どうしよう。俺の偉さを認めさせたい。俺が通る道をあけさせたい。頭をフル回転させた結果、俺が生徒会長の前を堂々と歩けば良いのではないかという結論に達した。休み時間になると俺は一目散に教室から出て、生徒会長を探した。あいつも授業が終わったところのはずだ。どこかの廊下にいるだろう。
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