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「黙るなって、なんか悩んでるだろ。そういう顔してる」
「…俺、そんな顔してます?」
「してるしてる! なんか俺そういう、人の感情とか結構分かっちゃうんだよねえ」
この人、ただチャラいだけじゃないのかもしれない。
「恋愛系かー? なんでも話聞くぜ、俺先輩だから」
やっぱちょっとムカつくけど、話してもいいかもしれない。
「実は…」
誰かにこんな話をしたのは初めてだ。2年も付き合った彼女が中学離れるし、気分転換に、とかそんな理由で別れ話をしてきた。俺は別れるとかそんな話考えたこともなかったから本当に驚いたし、どうにか思いとどまってくれと頑張ったけど、ダメだった。本当に好きだったのに。LikeよりLoveの域に達していたのに。
「……それで今傷心なんです」
先輩は意外と聞き上手で、俺も話しているうちに乗ってきて話したいこと色々話してしまった。
「そっかそっか、そりゃきついわ。よく学校来てるねえ」
「え」
そこを褒められるとは思っていなかった。
「名前は?」
「桐ケ谷桜玖」
「さく、可愛いねー」
やっぱムカついてきたわ。
「はは、そんな怒らないで」
「先輩、お名前は?」
「五百雀雲母」
名前、かわいい。顔とだいぶ違う…。
「名前、かわいい。顔とだいぶ違う…って思っただろ! わかるんだからな」
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