五百雀先輩

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「……きららせんぱい?」 「…お前な…!」 ばっと振り向いた先輩は鬼の形相で、ガチギレだった。 「ひゃ」 「ちょっとこっち来い」 近くの階段の下に連れ込まれ、すごい剣幕で怒られた。 「お前、俺がどんだけ頑張って名前隠してると思ってんだ!」 知らなかった。雲母って可愛いから公開済みだと思って…。でも公開しないってどうやるんだ? 英語の授業とか名前呼びじゃないのか? 「俺、学校では名前変えてんだ」 「え! なんて名前なんですか」 「五百雀絢人」 「雲母の方がいいのに…ってか、じゃあなんで俺には雲母って教えてくれたんですか」 「桜玖は…信用できる気がして……つい」 その瞬間、最近休憩中だった俺の中のある気持ちが膨らんでくるのが分かった。先輩、表向きはヤンキーとして頑張ってるのに本当はおっちょこちょいで、可愛い…。今までも無意識的に感じていたなんとなくの気持ちの正体がやっと分かった。俺は先輩のことが…。
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