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何もない、砂漠。日差しは熱く、風が吹けば砂嵐が襲ってくる。
歩くと砂に足を取られる、そんな状況でもアンドロイドは歩き続ける。
砂の山をいくら越えようと、砂漠の終わりは見えない。
しかし、アンドロイドはコンパスによれば正しい道を辿っているようだ。
コンパスさえ間違っていなければ、きっと大丈夫。乾いた暑さにエネルギーを奪われながら、アンドロイドは歩き続ける。
そして、しばらく歩いたときのことだった。
視界に大きな白いものが見える。それは複数あり、限界までズームすると十個確認できた。
もしかして。
アンドロイドの足が速くなる。
近づくと、それらは大きなアンテナだった。白くて丸く、十個という数はアンドロイドにかつての記憶を思い出させる。
研究所だ!
アンテナの下の建物は砂に埋まっていた。アンドロイドは記憶を頼りに入口の辺りに移動し、砂を掘り始めた。
一人で建物一つ分を埋めてしまった砂を掘るなんて人間にはできそうもない。しかしこのアンドロイド、博士に会えることを信じてたった一日で砂をどかしてしまった。
入口は静かだ。
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