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木漏れ日降り注ぐ森林を、
凍てつく寒さの氷河を、
静かな波音が佇む海辺を、
身も焦げるような灼熱のサバンナを、
アンドロイドは歩き続けた。
昼も夜も、休まずに。
パーツは解け、地面にポロポロと落ちていく。持っていた修理道具で都度治すが、それも時間の問題だろう。
ただ、コンパスが示す先に向かって歩き続けるだけ。
歩いていけば、そこには研究所があって、きっと博士がいるのだ。
そして、いつものように研究の助手をして、ご褒美に少し高級なオイルをいただくのだ。
オイルなんてどこにもないから、今は太陽光でどうにかエネルギーを確保している。
あの高級オイル、もし博士に会えたらまた飲めるだろうか。きっとあの博士なら、再会のお祝いに振舞ってくれるだろう。
淡い希望を抱きながら、アンドロイドは歩き続ける。
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