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廊下を進む。電気が通っていないようで、研究所の中はカーテンの隙間から差し込む光くらいしか明かりがなかった。
アンドロイドの目には、かつての研究所の光景が同時に浮かび上がっていた。
この応接室で、お客さんをおもてなしした。紅茶が好きだった博士には淹れ方を厳しく指導されたんだっけ。
進むとリビングがある。テレビは真っ黒な液晶のまま、起動しない。
唯一の楽しみはテレビだと博士が言っていた。研究が好きだった私は、研究は楽しみではないのかと博士をつい問い詰めてしまった。
二階に上がる。足を踏み出したら一段目の床が抜けたので、慎重に。
博士の部屋をちらりと覗く。キングサイズのベッドは乱れたままだ。
いつもベッドメイキングをするのは私だった。私が盗まれてから、博士は綺麗に整えることを忘れてしまったみたいだ。
一歩一歩踏み出す度に舞うホコリ。そんなものには意識を向けず、アンドロイドは思い出に浸る。
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