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「みのり、毛布足そうか? 今夜は冷えるみたいだし」  お風呂上がりのあたしの部屋に、ママが毛布を一枚手にしてやってきた。 「うん」 「早く布団に入りなさいよ。湯冷めしちゃうわよ」 「うん、分かった。おやすみ」 「おやすみ」  カーテンを少しだけ開けて、外を眺めてみる。暗がりにチラチラと雪が舞っているのが見えた。外はきっと氷点下だ。考えただけで身震いしてしまう。ママがきちんと整えてくれたベッドに潜り込む。  目を閉じる瞬間、交差点で見た柴犬のことを思い出した。  あの子、大丈夫かなぁ。  心配になりながらも、お風呂であたたまった体と布団のぬくもりに、あたしはすぐに眠りについていた。
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