14人が本棚に入れています
本棚に追加
2
朝目が覚めると、外はうっすらと雪景色になっていた。
いつも通りに朝ごはんを済ませて支度をしていると「おはようございまーす! みのりー!」と、玄関からイチの声が響いてきた。
「あれ? 今日早くない?」
いつもの時間よりもずいぶん余裕があるけれど。あたしはリビングの壁掛け時計をチラリと見ながら玄関へ急いだ。
「ちょっとさ、あいつのこと、気になって」
眉を顰めて、イチは俯く。
「あいつって、もしかして、柴犬のこと?」
あたしが聞くと、コクリと頷く。
「あたしも、気になってた」
「だろ? 外雪降ってんだぞ、あいつあのままあそこにいて、寒くて死んじゃわないか、昨日色々考えて眠れなかった」
よく見れば、イチの目の下に影が出来ている。
「早く行ってみようぜ!」
「う、うん」
あたしは急いで足元に持ってきていたランドセルを背負った。
駆け足で交差点を目指す。ヒヤッとした空気に吐き出す息が真っ白だ。
最初のコメントを投稿しよう!