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私にもきちんとお迎えは来てくれるかな。
ビルの屋上から飛び降りるシーンは何度も見たことがある。けれど、いざ自分がその立場になると足が動かなかった。
怖かったからではない。右足から踏み出すべきか、左足から踏み出すべきか、それとも両足でぴょんと飛び降りるのが正解なのか、どれが一番行儀の良い作法なのか分からなかったからだ。
動きを止めたまま悩む私を尻目に、風に煽られた制服のスカートはパタパタと元気な音を立てている。
「まぁ、いいか」
どうでもいいことだ。足は揃えたままにして、踏み出さないことにした。
バンジージャンプの要領で、ピンと伸ばした体を前に傾け、そのまま空中へと身を投げる。
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