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「嘘でしょ! 恋獄愛一郎様が死ぬなんて、どうして? どうしてよ!」
「彼は大切なファンの身代わりになって死んだんだ。最後までいいキャラだったね」
「あたしは納得出来ない! 推しが死ぬなら私も死んでやるっ!」
発狂した妻を一生懸命に諭すが、聞いてくれそうにない。
「あんたには推しに死なれたファンの気持ちがわからないでしょう」
「気持ちはよくわかるよっ! 僕だって君に死なれたらどれだけ悲しいか」
「本当っ!?」
「ああ、推しグッズでどれだけ部屋を占拠されようが黙っていたのはきみの事が好きだったからだ」
「そうだったの、あたし、自分の趣味に没頭しすぎて私生活を空け透けにしていたのね」
「僕も仕事ばかりで、きみのことかまってあげられず、ごめん」
妻は漸く落ち着いてくれたが、恋獄愛一郎の死は妻と同じように「推しが死ぬなら自分も死ぬ」と自殺した人も少なくなかったようだ。
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