06.地球の行方

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06.地球の行方

 そのときイングリッシュ・コッカーの生徒が手を挙げる。 「先生、その予言者の書いた『予言書』は、最初のうちは単なる『小説』だと人類から思われたんですよね?」  チワワの先生はよく知ってますねと褒めるようにうなずく。 「そうです。犬の神様の恩寵あふれる仕組みに、人類たちは愚かにも気づかなかったわけですね。それで、犬の神様はこんな愚かしい人類にこれ以上、地球の行方を託すことはできないとお考えになりました。そこで、さっき説明したように、予言者の書いた『小説』を通じて世界中の犬たちに呼びかけました」  そうして予言書にあるとおり、長い戦いの果てに犬は人類に勝利し、地球の新たな支配者となった。 「予言者は最初、自分の書いた『小説』がベストセラーになったことで、ようやく自分の夢が叶ったことに喜んでいました。けれど、それは犬の神様の与えてくれた金色の首輪のおかげだと気づきました。犬の蜂起が始まった直後に、目の前に現れた犬の神様にそう告げられて」
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