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07.犬たちの末裔
チワワの先生が教室の生徒たちに語りかけ続ける。犬の生徒たちは熱心にチワワの先生の言葉に耳を傾ける。
「予言者は犬の神様のお与えになった金色の首輪を自分の首から取ろうとしました。けれど、一度つけてしまった首輪は二度と外すことが許されないものでした。予言者は絶望のあまり、自ら舌を噛み切って死んでしまいました」
教室が水を打ったように静まり返る。犬の神様の恩寵を与えられたはずの予言者の選んだ悲劇的な結末を、どう受け止めればいいのかわからないままに。
「それでも、犬の神様の慈悲深い恩寵が予言者に与えられました」
人類との戦いに勝利した犬たちは、自らを目覚めさせてくれた犬の神様と予言者に深く感謝した。そして犬たちは予言者の銅像を建てることにした。犬の神様はあまりに畏れ多いために、予言者の銅像だけを建てることにした。
「それがトウキョウワンワンシティに建つ予言者の銅像です」
チワワの先生が犬の生徒たちに言った。
「みなさんも小説を読むときには注意深くなりましょう。どこに犬の神様の慈悲深いお考えが潜んでいるかわかりませんからね」
犬の生徒たちはチワワの先生の言葉に大きく返事する。愚かな人類との戦いに勝利した犬たちの末裔として。
(おわり)
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