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行く先の無い愛の処理方法
#0
愛に欲に塗れる聖夜。
イルミネーションの輝く光が照らす恋人の顔には幸せという文字が貼ってある。
それを横目に見る私にはもう、その文字は貼られていない。
#1
貴方の隣に座る権利を失くしてしまったのは前日の日跨ぎ前。
貴方との過去のショートメッセージを読み返していた深夜、スマホのバイブレーション機能が作動した。
そこに表示されたのは貴方の裏垢の更新。
本当に悲しいときは涙が出ないのだろうか、
雫の垂れない目を擦っては意味を反芻する。
'あー**との***気持ちー'
そこに記されていたのは私の知らない名前。
ご丁寧に画像付きで、隠すところは手で隠して。
#2
一月前から予約していたフレンチにキャンセル料を。
私の初の恋人に喜び赤飯を炊いてくれた両親に手紙を。
恋愛指南をしてくれた親友に号泣の電話を。
私の体を、心を、弄んだ貴方に粛清を、、、
不可能では無いはずだ、貴方を社会的に殺すことは。
心はそうしたくても私が否定する。
あんなに好きだった人を嫌いになれない、
愛と呪いの境を跨いだ私はもう普通の人を名乗れない。
#3
貴方からショートメッセージが届いたのは26日。
'ごめん クリスマス仕事入ってて一緒に居られなかった'
こんなクズ、普通の人ならとうに捨てているだろう、
普通の人なら。
私も心のどこか片隅で気づいている、
おかしいことを。
振るなら貴方から振ってほしい、
本当の意味で貴方を諦められるから。
割れていない私の心は貴方を想ってしまう。
暴言でいい、暴言でいいから、
可哀想な私を壊してよ。
心を割ってよ。
殴ってよ。
硝子が砂になるまで、
永遠と。
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