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「一家惨殺事件の生き残りですか? さぞかし大変だったでしょう」
浩史たちが乱闘騒ぎを起こして数日、保険会社の人がわたしに訊ねて来た。
「あのあと、何が起きたのか、気を失っててわからないんですけど」
「男性四人が血塗れで横たわってたらしいです。残念ながら、四人とも死亡みたいです」
「四人とも…」
「最愛の旦那さまでしたよね、お悔やみを申しあげます」
「そんな…」
「こちらとしては四人ぶんの生命保険をお渡ししなければなりません」
「でも、四人とも戻っては来ないです」
わたしは泣いた後、生命保険の受け取りにサインした。世間では『結局、保険金目当てで夫にデスゲームさせたんじゃない?』『とんだサイコワイフかよ』『ポリアモリ制度撤廃したほうが良くない?』と騒いでいるだろうが、わたしの気持ちの何がわかるというのだろう
了
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