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「そいつ以外は洋子と寝れないとはどういう了見なんだ?」
「じゃあ聞くが、お前は洋子の体をなんだと思ってるんだ?」
「俺だって洋子の夫なんだ、寝れないのはおかしいだろう!」
「それは俺たち全員だっ! そうした事も覚悟の上で洋子と結婚したんじゃないのか?」
「優っ! 五番目の夫の分際でえらそうな事をいうんじゃない!」
「五番目とか一番めとかどっちだっていいだろうっ! 家の中にまで年功序列を持って来るな」
浩史たちは口論では終わらず、取っ組み合いの喧嘩を初めてしまった。夫が夫を殴る蹴るなどのDVをやる始末だ。
「みんな、ちょっと暴力はやめて、夫が夫を殴るのはDVだよっ! 優も大丈夫?」
「俺は大丈夫、でも嫁と一緒に寝れずに何の為の夫婦なんだ!」
「でもほら、子供がいない夫婦も世の中いらっしゃるし、ないから不幸になるわけじゃないからね」
「じゃあ、洋子は、俺とは寝たくないというのか?」
「いや、そういう事じゃなくて」
「もういいよ、四人の中の一人しか洋子と寝れないなら、三人殺して俺が生き残ってやるっ!おらあああっ!」
優はそう言って、浩史たちに飛びかかって行ってしまった。
「ねぇみんな、暴力はやめてよっ! 喧嘩しないでお願いっ!」
「これはケンカじゃない、殺しだよっ!」
家の中に浩史たちの血しぶきが激しく飛沫し、テーブルやキッチンもボコボコにされ、カーテンもビリビリに引き裂かれ、四人とも血塗れだ。もう限界だ。わたしはスマートフォンを取り出して警察に通報しようとするが、背後から固い何かで後頭部を叩かれ、気を失ってしまう。
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