第二十三章 運命のつがい

1/5
191人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ

第二十三章 運命のつがい

 ベッドの上で、熱いひとときを交わした、伊織と駿。  今は寄り添い、甘いピロートークを楽しんでいた。 「素敵なバレンタインデーだったよ」 「僕もです」  短い、可愛らしいキスをした。  ふふっ、と伊織が笑う。  この上ない、安らぎの幸福感が、いっぱいに広がる。  だが、疲れている駿は、しだいに瞼が重くなってきた。 (いけない)  0時までは、起きてなきゃ。  目を覚ましておくために、駿はお喋りになった。  入学試験のこと。  卒業式の練習のこと。  そして……。 「あ。そういえば僕も今日、チョコもらったんですよ」 (何!?)  うとうとしかけていた伊織は、駿の言葉に覚醒した。 「全部で4個。女子から2個と、男子から2個です」 「そ、そうか」 「男子からの1個は、友チョコなんですよ。同じクラスの、小松くん」 「ああ、同じオメガの」  後は、2年生から1個です。  そんな風に、駿は簡単に打ち明ける。  しかしそれを聞きながら、伊織は胸をざわめかせていた。  伊織さまとは比べ物になりませんね、などとと言う駿の表情に、媚はない。  わざと煽って、試す素振りも、ない。  全く天然の、素で、伊織以外の人間から貰った贈り物のことを、話しているのだ。 (この感情は、一体何だ!?)  これが、噂に聞く。  これが……嫉妬というものか!  
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!