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(な、なんとか乗り切った……)
料理対決も終わり、そろそろ“女子戦”も終わりが近付いてきた。
再び会場を、カフェ・ドゥ・マジカルから体育館へと移し、マコは他の参加者と共に整列していた。
(まさか本当にぜんぶ食べることになるとは……)
圧迫されつつある胃が、少し苦しい。参加者全員の料理を味見するのは、さすがにしんどかった。腹八分目といった具合だ。
(それぞれを一口程度とはいえ、数十人分の料理を一気に食べるのって、あんなにも疲れるのね……)
さらには最後に、イリア特製のケーキも少し頂いてしまった。明日の体重計に乗るのが、そこはかとなく怖い。
(まあでも、いよいよ大詰めね。最後の種目は、なんだったかしら)
企画提案者であるマコだが、大会の内容すべてを把握しているわけではなく、プログラムのほとんどは、企画部といった第三者がつくっている。何も知らないからこそ、楽しみが増えるからいいのだが……。
『皆さん、お待たせしました。この大会も残すところ、残り一種目となりました』
本業の実況に返り咲いたメロディーは、始まる前と比べて、肌の血色が良いように感じる。恐らくさっき、実食席で散々食べ漁ったからか、なんだかいつもより眠そうにも見える。
『いやー、長いようで、あっという間だったッスねぇー』
『はい、最後の種目も、悔いの残らないようしっかり実況していきたいと思います』
『ところでメロディーさん、最終対決の種目は、一体何なんッスか?』
ナゥルがわざとらしくそう聞くと、
『はい、ただいまその台本がわたしの手元に届きましたので、発表したいと思います』
がさがさと紙のかさばる音をマイクが拾う。
『……はい。最終対決は、“最強対決”です』
メロディーの美声が、体育館内に響く。
『はい? なんですって? サイキョー?』
となりに座る解説のナゥルも、困惑していた。
『はい、最強対決です。大会の最後を飾るのは、大トリらしく、他者よりより優れた強さを持つ女子に得点が入ります』
『えーとつまり……大乱戦ということッスか?』
『はい、まさしくバトルロワイアルです。自分以外は、全員敵です』
唖然とする会場の選手たちに、機械のような淡々とした口調でルール説明をするメロディー。
『これから選手の皆さんには、ご自身の胸元の決められた位置に、バッジを付けてもらいます。そのバッジを相手に取られたらこの試合は敗退――つまり無得点というわけですね。このバッジをより多く集められた分だけ、自分の得点に加算されるという、シンプルなルールです』
『………………』
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