続続・少女たちの激突の争奪戦祭典大会

13/17
前へ
/201ページ
次へ
  『そして、大会側が用意した簡易武器を、一人一個ずつ持つことが許されます。簡易武器は、剣タイプ、棍タイプ、盾タイプの三種類のみです。持ち込み武器、そして魔法の使用は禁止です。頼れるのは己の肉体のみ。行動範囲は、この学園の敷地内全体です。校舎や建物の中は入れません。入った瞬間に失格です』 『な、なかなか殺伐としてるッスね。っていうか、それってやっぱり女子力と関係ないんじゃ……』 『“女子”ですからね。やはり最後は武力で白黒つけるのが妥当かと』  なにが妥当なんだ、と会場中がツッコんだのは言うまでもない。 『ルール説明は以上です。時間制限は一時間。逃げ回るだけでは、得点を稼げないということですね。ではこれより最終対決、“最強対決”が始まります。皆さん、この体育館から出たら、その時点で、試合開始です』  運営スタッフによって配られたバッジを胸元に付け、用意されている簡易武器をそれぞれ選ぶ選手たち。  そうこうしている間に、試合開始の合図が鳴らされ、選手たちは慌てて簡易武器を手に、体育館を飛び出していった。もちろんマコも、そのうちの一人だ。 「な、なんでこんなことに……」  今日は平和な対決かと思いきや、まさかの暴力で解決とは。企画(プランニング)部のぶっ飛んだ想像力を忘れていた。  とりあえず校舎内には入れないので、マコは素早い足取りで、中庭の植え込みに身を潜めた。 (でも、たしかにメロディーの言うとおり、負けを恐れて逃げ続けても、自分のバッジは奪われないけど、得点にはならない……。やっぱり“攻め”の姿勢も重要ということね)  マコは、握りしめている簡易武器に視線を落とす。当然というべきか、自分は生粋の剣士なので、剣タイプを選んだ。 (西洋の剣がモチーフの、ソードね。私は刀使いだから、おなじ剣でも扱いが難しいわね……)  とにかく、これは勝負なのだ。勝負事には手を抜きたくないマコとしては、何人かは倒すつもりでいる。 「誰かいるの?」 「っ!」  マコは飛び跳ねる心臓を抑え、植え込みの向こうにいる声の主の正体を探ろうと、そっと様子を伺う。それがマズかったらしい。 「あ、マコか」 「! チェリム……」  チェリム・スライト・チェラウト。庭球(テニス)部所属の、見知った一年A組の同級生だ。肩下までの栗色のセミロングヘアを、赤いチェックのリボンで留めてツインテールにしている。 「チェリムも、剣タイプなのね」  観念して植え込みから出たマコは、チェリムの持っている簡易武器を、油断なく見た。 「うふふ、マコもね。悪いけど、私だって『女子力女王(プリンセス)』の座は渡さないよ」 「同感ね。正々堂々、勝負よ」  前置きは、それくらいで十分だ。  
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加