三章

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三章

(リリアーヌside) コレットが出て行ってから一週間が経とうとしていた。 父は怒りに任せてコレットをミリアクト伯爵家から除籍してしまう。 (あーあ、わたしの言うことを聞かないからこうなるのよ。バカなコレットお姉様) リリアーヌはベッドの上で窓の外を見ながら考えていた。 新しいテーブルの上に置いてあるハサミを見ると、あの日のコレットを思い出す。 誰にも似ていないオリーブ色の長く伸ばしていた髪を切ってしまったのだ。 それに何の意味があるのかわからないが、コレットの中では大きな決断だったのだろうか。 (せめてわたしと同じ髪色だったらよかったのに……なんてね) 美しい自分とは違って、地味で平凡なコレットを可哀想だと思っていた。 瞳の色は同じなのにイメージは全然違って見える。 幼い頃は輝いていたコレットもリリアーヌが「ずるい」「羨ましい」と言って引き摺り下ろした。 あっという間にコレットはリリアーヌより下になって、そのまま魅力は霞んでいく。 コレットがいなくなり残念だと思っていたが、今回リリアーヌはコレットがいなくなったことで、今までコレットが持っていたすべてを貰い受けることになる。 全部がリリアーヌのものになるのだ。 (イケメンの婚約者も両親からの愛情もミリアクト伯爵家も全部、わたしのものよ!ウフフ……最高の気分) 今だってコレットがいなくなって落ち込んでいると言って、こうしてベッドの上にいる。 父と母が怒りだすため誰もコレットの話をしなくなった。
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