三章

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ただ一つ残念なのは、コレットが苦しむ顔が見れなくなってしまうこと。 しかし失ったのは憂さ晴らしの機会だけ。 その代わりにコレットが持っていたものを手に入れた。 これ以上、最高なことはありはしない。 リリアーヌは上機嫌に鼻歌を歌っていた。 しかし現実はリリアーヌの思った通りには進まなかった。 コレットがいなくなったことで彼女が抱えていたものが全てリリアーヌに降りかかることとなる。 最初に違和感を感じたのは父と母がリリアーヌの部屋に会いにこなかったこと。 忙しそうに屋敷内を駆け回り、苛々している姿をよく見かけるようになった。 リリアーヌのことを気にかけてくれなくなって、食事も一緒に取れなくなる。 どうやら今までコレットに任せきりだった領地の仕事と屋敷の管理をしなければならなくなったらしい。 (お父様もお母様も全然構ってくれないんだもの。つまらないわ……!) 次に気になったのはディオンのことだった。 リリアーヌと婚約した途端、ミリアクト伯爵家に顔出さなくなった。 リリアーヌはディオンに「会いに来て」手紙を送っても無視されてしまう。 しかしそれも気のせいだと言い聞かせていた。 (なんで……?わたしのことが大好きなのに言うことを聞いてくれないなんておかしいわ)
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