三章

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次第にリリアーヌの抵抗は意味がないほどに毎日毎日、講師たちと顔を合わせて興味がないことばかりを教え込まれる。 背後から聞こえるため息と「こんなこともできないなんてありえないわ!」という失望の声。 リリアーヌにとってそれは苦痛でしかなかった。 ストレスで頭がおかしくなってしまいそうになる。 (……っ、こんなはずじゃないのに!) そしてまた一週間経ち、パーティーの日を迎えた。 リリアーヌはディオンの迎えを待っていた。 ドレスを着て出掛けることは悪くない。やっと息抜きができると喜んでいた。 公爵家の馬車はいつも豪華で素晴らしい。 乗っていると自分まで偉くなったような気分になる。 そしてリリアーヌには皆が羨むイケメンの婚約者がいる。 リリアーヌは一瞬で嫌なことを忘れてしまった。 父と母は心配そうにこちらを見ている。 やはり以前のパーティーの失敗を気にしているのだろうか。 (何よ!お父様やお母様だってコレットお姉様のせいにしていたくせに……っ!わたしだって頑張ってたんだし、大丈夫に決まっているわ) ディオンは両親に笑顔で挨拶すると、こちらに戻ってエスコートをしてくれるかと思いきや、嫌そうにリリアーヌをエスコートしながら馬車に乗り込むとすぐに手を離す。 リリアーヌは気のせいだと言い聞かせていたが、馬車の中でディオンに話しかけても無反応だったことで明らかな変化を感じていた。
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