三章

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シェイメイ帝国の言葉や文化を本格的に勉強していると、外への興味は自然と薄れていく。 メイメイやウロにもなるべくシェイメイ帝国の言葉で話してもらっていた。 本を読んだり刺繍をしながらヴァンの帰りを待つ。 彼を出迎えて、一緒に夕食を食べながら話すのが毎日の日課だった。 ヴァンとは昔から本音で話していたからか会話が弾む。 ヴァンはコレットのわずかな感情の変化に気付いてくれる。 毎日、必ずコレットに愛情を伝えてくれることも含めて寝室が別なだけで本物の夫婦のようだと思った。 (まるで本当にヴァンと結婚しているみたい) 真っ赤になる頬を押さえながら寝室に戻っていることをヴァンは知らないだろう。 毎日、美味しい食事が出てコレットの好みを細かくメモをするシェフたち。 メイメイたちは惜しみなく金を使いコレットの肌や髪を磨き上げていく。 資料をめくりすぎてガサガサだった指先も元に戻り、オリーブ色の髪はハサミで切って毛先がギザギザだったため整えてもらい艶々だ。 あんなに痩せていた体も、美味しい食事のおかげで肉付きもよくなってきた。 頬はふっくらしていて、肌には赤みも帯びている。 いつも冷たい水で汚れを落としていただけだったのに温かいお湯に浸かり、エヴァリルート王国にはない不思議なマッサージをしてもらったり、シェイメイ帝国では定番だという苦みのあるお茶を毎日飲んだりと至れり尽せりだった。
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