三章

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コレットがやりすぎではないかと思ったが「シェイメイ帝国では日課なようなものです」とメイメイに言われて、他の侍女たちも楽しそうなのでコレットは何も言えなくなる。 申し訳ないような、遠慮の気持ちもあったがメイメイに促されるまま今日もマッサージの施術を受けていた。 「わたくしにこんなことをして、もったいないんじゃないかしら」 「コレット様はヴァン様の奥様になるお方ですから」 「ヴァン様からコレット様のために尽くせと命を受けております」 「お綺麗です。コレット様」 そう淡々と告げられて、コレットは複雑な気分だった。 今日も夕食の後にヴァンはコレットを背後から抱きしめながら本を読んでいた。 前は照れていたが、今ではこの状況に慣れつつある。 ヴァンは片手で資料を読みながらご機嫌だった。 そんな日々を過ごしていた時、ヴァンからある提案を受ける。 「コレット、明日は外に出かけてみませんか?」 「外に?」 「もう一ヶ月も屋敷にいますから、たまには気分転換も必要でしょう?」 リリアーヌに合わせるようにして、ずっとミリアクト伯爵邸から出ることがなかったコレットは特に不満はなかったが、折角提案してくれたのだからと頷いた。
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