三章

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それにヴァンと買い物をするというのは初めてだったので嬉しかった。 次の日、コレットは着替えてから久しぶりに屋敷の外へと出た。 普通の貴族とは思えない厳重な警備が気になるところだが、コレットはヴァンにエスコートされるがまま馬車に乗り込んでいく。 メイメイやウロも一緒に行くらしく、護衛たちに指示を出しながら手際よく準備をしていた。 (メイメイとウロは普通の使用人ではないのかしら……) ヴァンが普通の貴族とは何か違うことは薄々感じていた。 それと同様にメイメイやウロも同じ。 しかしそれもシェイメイ帝国との文化の違いかもしれないと思うことにした。 馬車が走り出すと次第に見慣れた景色が見えてコレットは驚いていた。 そしてコレットはここがシェイメイ帝国ではなく、エヴァリルート王国だということに気付く。 「ここって……まさか」 「そう、ここはエヴァリルート王国です。僕の恩人が残してくれた屋敷を買取りました」 「もしかして、ヴァンの恩人はエヴァリルート王国の貴族なのかしら?」 「はい、そうです。彼は僕をあの地獄から……母の生まれ育ったシェイメイ帝国に連れて行ってくれた恩人なんですよ」 「母……?お母様がシェイメイ帝国の方なのね」 「えぇ、そうです」 恩人はエヴァリルートの貴族で、ヴァンはシェイメイ帝国に住んでいる。 ますますヴァンのことがわからなくなっていた。
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