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ヴァンはコレットの手を取ると祈るように目を閉じた。
「ヴァン……?」
「あの時、コレットと出会うことができて本当によかったと心からそう思うんです」
コレットはヴァンの固く握られた手を握り返すと、手が微かに震えているような気がした。
コレットは思わずヴァンを抱きしめた。ヴァンもコレットを包み込む様に抱きしめ返す。
「コレットがいなくなってしまうこと……それが今の僕にとって一番怖いんです。自分がこんなに弱かったなんて、びっくりします」
コレットが顔を上げると彼の紫色の瞳が揺れ動いている。
瞼を伏せて俯いたヴァンをコレットはただ抱きしめることしかできなかった。
いつもパーティーの別れ際に、いつも寂しそうな目をしていたことを思い出す。
「……わたくしはこれからもヴァンのそばにいたいと思っているわ」
こうして一緒に過ごして思うことは、あの時からヴァンへの気持ちは何一つ変わらないということだ。
ヴァンへの恋心に蓋をして、今まで自分の気持ちを押し殺してきたけれど、ヴァンの優しさに凍った心は溶かされるのと同時に心が惹かれていく。
(でも、こんなわたくしがヴァンに釣り合うのかしら)
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