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コレットはヴァンの話を聞いて心配なことがあった。
シェイメイ帝国で地位を積み上げたヴァンと、貴族の令嬢でもないコレットが共にいていいのだろうか。
そう考えると不安になってしまうが、それでもヴァンはコレットを必要としてくれている。
(いつまでも弱気なことを言っていてはダメよ。これからはヴァンに釣り合うように、もっと努力しないと……)
この話はヴァンが歩んできた人生のほんの一部分なのだろう。
ヴァンは今までとても苦しんできたことだけはわかる。
その苦しみを少しでも減らしてあげたい。そう思えて仕方なかった。
コレットはヴァンの顔を両手で挟み込むようにして掴む。
目を見開いているヴァンを見つめながら、コレットは震える唇を開いた。
「わたくしはヴァンが今までの分も幸せになってくれないと嫌よ」
「……コレット?」
「わたくしでよければ、ずっとそばにいるから。あなたのそばに……っ」
コレットは言葉の途中で唇を噛みながら泣くのを堪えていた。
ヴァンの境遇や気持ちを考えると胸が痛い。
涙がハラハラと頬を伝っていく。
「どうしてコレットは泣いているのですか?」
「ヴァンの、代わりにっ、泣いてるだけよ……」
「……コレットは相変わらずだな」
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