三章

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しかしヴァンは笑顔で「コレットには明るい色が似合う」「好きな色を選べばいいんですよ」と言ってくれる。 今度はメイメイもウロもヴァンと共に明るい黄色か、ピンク色のドレスのどちらがコレットに似合うか、真剣に悩んでいる姿を見て、なんだか嬉しいような恥ずかしいような不思議な気分だった。 コレットの嫌な記憶が次々と塗り替えられていく。 意外にもメイメイが一番楽しそうにコレットの服を選んでいた。 ウロが「メイメイのあんな楽しそうな表情、初めて見ました」と驚いている。 店を忙しく動き回る店員たちにドレスを包んでもらっている間、コレットやヴァンはゆったりと紅茶を飲んでいた。 (こんなにたくさんのもの買ってもらったのは初めてだわ……それになんだか嬉しい) 人の顔色を窺うことなく、一緒に楽しんで服を選んでくれたことはコレットに生まれて初めての経験だった。 ヴァンはずっと否定されてきたコレットのすべてを肯定してくれる。 これからは自分の意思で選んでいいと言葉にはしなくても態度で示してくれているような気がした。 「……ありがとう、ヴァン」 「コレットが喜んでくれて僕も嬉しいです。僕のも一着、コレットが選んでくださいね」 ヴァンはいつもシェイメイ帝国の伝統的な服を着ているのだが当日はコレットに合わせるそうだ。 コレットがヴァンに似合いそうなものを選ばせてもらった。
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