三章

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(互いの服を選ぶなんて、なんだか夫婦みたいだわ) 店の外に出ても気持ちがふわふわして温かい。 ウロが大量の荷物を運んでメイメイが指示をしている間、次に回るお店を探すために歩いている時だった。 「──ちょっと待ちなさいよ!」 見覚えのあるプラチナブロンドの髪が目の前を横切っていく。 そしてコレットたちの前を歩いているライトブラウンの髪の青年の手を掴み引き留めようと声を上げている。 青年が振り返ると元婚約者であるディオン・フェリベールの姿があった。 「今度のパーティーに着て行くわたしのドレスを買いに来たんでしょう!?あんたのお金じゃないんだから返してよっ」 「今は父上に怒られて金が手にはいらねぇんだよ。適当に言い訳しとけ。これは俺がもらうからな」 「信じられないっ!こんなことするなんて」 「またパーティーに出ても逃げ帰るだけだろう?なら新しいドレスは買っても無駄だな」 「……ッ、そんなことないもん!」 「はぁ……うるせぇなぁ」 二人は言い争っていたがコレットには時が止まってしまったかのように何も聞こえなかった。
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