三章

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無意識に呼吸を止めていたようで、息苦しさに肩を上下に動かしていた。 ヴァンやメイメイが不思議そうにこちらに視線を送っていたが、コレットには目の前にいる二人の姿しか見えなかった。 (どうして、こんなところに……はやくどこかに行かなくちゃ) コレットが一番会いたくないと思っていた人物がそこにはいた。 それは一ヶ月ぶりに会う妹、リリアーヌの姿だった。 コレットがどこかに隠れようと考えた矢先、ディオンと目が合った。 彼はこちらを見て目を見開いている。 立ち止まって驚いているディオンを見て、不思議そうにしていたリリアーヌだったが、ゆっくりとこちらを振り向いた。 リリアーヌの金色の瞳と目が合った瞬間、コレットの心臓がドクリと脈打ったのがわかった。 「嘘でしょう……!?まさか、本当に!?コレットお姉様じゃないっ」 先ほどまで怒っているように見えたリリアーヌだったが、コレットの姿を見た瞬間に桃色の唇が大きく歪む。 ディオンもニヤリと口端を上げて、興味深そうにこちらを見ている。 リリアーヌはヴァンやメイメイに視線を送った後に何を思ったのかこう言ったのだ。 「野垂れ死んだかと思ってたけど、コレットお姉様は娼婦になったのねぇ!」
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