三章

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「この女は、コレットは元伯爵令嬢で家族に疎まれて婚約者にも捨てられたのよ?アハハッ、今はこんなに綺麗に着飾ってるけど本当は汚……っ」 しかしリリアーヌの言葉は最後まで紡がれることなく途中で遮られてしまう。 『メイメイ、ウロ……待て』 一瞬、コレットは何が起きたのかわからなかった。 ヴァンがシェイメイ帝国の言葉でメイメイとウロを引き留めている。 メイメイはリリアーヌの首元に短い刃物を両手で持ち、突きつけていた。 メイメイは先ほどまでは確かにコレットの後ろにいた。 そしてウロも荷物を運んでいたはずなのに、どこから出したのかディオンの首元に槍のようなものを向けているではないか。 「いっ……いやぁぁ、あぐ!?」 「……ヒッ!?」 リリアーヌが叫び声が大きくなる前に、リリアーヌの首に刃物の柄が食い込んで、喉を押しつぶすようにして叫ばせなくさせているのだと思った。 周囲が気づかないほどに静かに、そして素早い動きは目で追うことすらできなかった。
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