三章

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「あっ……」 『君がコレットの妹……リリアーヌかな?』 「えっと、わっ、わたしがリリアーヌですけど」 『……お前がコレットを苦しめた元凶か』 「よくわからないけど、わたしはあなたが謝ってくれたら許してあげなくもないですけどぉ」 おかしいくらいに噛み合わない会話。 リリアーヌという名前はかろうじて聞き取れたようだが、シェイメイ帝国の言葉をまったく理解していないのだろう。 リリアーヌはうっとりとヴァンを見つめていたが、次の瞬間……その表情が恐怖に染まる。 リリアーヌの顔面を片手で掴み上げたヴァンに、コレットは驚き目を見開く。 「コレットを苦しめただけでなく、まさか僕の前で彼女を悪く言うなんて信じられないな」 「ぐっ……ぅ!?」 ヴァンはリリアーヌにもわかるように言葉を切り替えたのだろう。 リリアーヌのくぐもった悲鳴が聞こえてくる。 ヴァンは立ち上がって、片手で軽々とリリアーヌの体を持ち上げてしまう。 リリアーヌの血走った目からは涙がハラハラと溢れている。 「そのうるさい口を今すぐに閉じろ……不愉快だ」
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