三章

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心配をかけたくなくてコレットは首を横に振る。 しかしヴァンにその意図は伝わらなかったようだ。 「やっぱり二人を消しましょう。そうすればコレットは二度と悲しむことはありませんから。コレットを追い詰めた挙句、のうのうと生きていることが許せませんから」 「やめて、ヴァン!」 「コレットを娼婦扱いしている奴らのことなんて、どうして庇うんです?」 「……っ」 「今すぐに壊してしまえばいい」 ヴァンの雰囲気に背筋がゾクリとするものを感じた。 先ほど言葉は冗談ではなく、本気だったのだとわかったからだ。 「で、でもヴァンがそんなことをする必要はないわ!」 「どうしてです?コレットを馬鹿にされるのは耐えられない」 ギリギリとヴァンの歯が擦れる音が聞こえた。 コレットがヴァンのために怒ってくれている。 それだけでコレットは報われるのだ。 「……ヴァンが手を汚す必要なんてないわ」 「コレットは優しすぎる」 コレットは首を小さく横に振った。 「そんなことをしなくても、わたくしはヴァンと一緒に過ごせて幸せなんだもの」 「……!」 「ヴァンがわたくしと一緒にいてくれる。それだけで十分だから」
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