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心配をかけたくなくてコレットは首を横に振る。
しかしヴァンにその意図は伝わらなかったようだ。
「やっぱり二人を消しましょう。そうすればコレットは二度と悲しむことはありませんから。コレットを追い詰めた挙句、のうのうと生きていることが許せませんから」
「やめて、ヴァン!」
「コレットを娼婦扱いしている奴らのことなんて、どうして庇うんです?」
「……っ」
「今すぐに壊してしまえばいい」
ヴァンの雰囲気に背筋がゾクリとするものを感じた。
先ほど言葉は冗談ではなく、本気だったのだとわかったからだ。
「で、でもヴァンがそんなことをする必要はないわ!」
「どうしてです?コレットを馬鹿にされるのは耐えられない」
ギリギリとヴァンの歯が擦れる音が聞こえた。
コレットがヴァンのために怒ってくれている。
それだけでコレットは報われるのだ。
「……ヴァンが手を汚す必要なんてないわ」
「コレットは優しすぎる」
コレットは首を小さく横に振った。
「そんなことをしなくても、わたくしはヴァンと一緒に過ごせて幸せなんだもの」
「……!」
「ヴァンがわたくしと一緒にいてくれる。それだけで十分だから」
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