三章

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コレットがそう言うと、ヴァンは小さく息を吐き出した。 やっと気持ちが落ち着いたのか、コレットを包み込むように抱きしめる。 「コレットがそう言うのなら僕は従います。今は、ね」 「……ありがとう、ヴァン」 「その代わり二度目は我慢しませんよ?」 「えぇ、わかったわ」 ウロとメイメイが戻ってくるまで、ヴァンと温かい時間を過ごしていた。 リリアーヌやディオンに言われたことも気にならないくらいコレットは満たされていく。 暫くすると馬車の外側から「問題なく対処いたしました」というメイメイとウロの言葉を聞いてコレットはホッと息を吐き出した。 しかしコレットはあの二人が、特にリリアーヌが何かしてくるのではないかと思うと不安だった。 『絶対に許さない!今度こそお前を……っ』 リリアーヌやディオンがヴァンやメイメイやウロに危害を加えようとした時にコレットは何ができるのだろうか。 ここはシェイメイ帝国ではなく、エヴァリルート王国なのだ。 (もしミリアクト伯爵家とフェリベール公爵を敵に回してしまったら?) 今のコレットにはヴァンを守ることはできない。 そのことが悔しくてたまらなかった。 だが気になるのはヴァンのシェイメイ帝国の代表としてここに来ているという言葉だった。
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