三章

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それからリリアーヌの体を片手で持ち上げられるほどにヴァンの力が強いことも驚きだった。 ヴァンはシェイメイ帝国でどんな風に過ごしてきたのだろう。 ゼゼルド元侯爵に剣術を習ったと言っていたが、それだけではなさそうだ。 ウロとメイメイだって明らかに普通の使用人ではない。 シェイメイ帝国は強大な武力を持っていることでも有名だ。 そしてエヴァリルート王国もシェイメイ帝国の力を警戒していた。 彼らが本気になればエヴァリルート王国は何もできないまま降伏するしかないだろう。 それにヴァンはコレットのことを調べて知っていると言っていた。 『……お前がコレットを苦しめた元凶か』 ヴァンがどこまで知っているかはわからないが、きっとリリアーヌやディオンのこともすべてわかっているのかもしれない。 (ヴァンはどうやって調べたのかしら……従者はみんなシェイメイ帝国の人たちなのに) ヴァンと距離が近づいたかと思えば、遠い人だということを実感する。 (もしもわたくしの事情にヴァンを巻き込んで迷惑をかけてしまったら申し訳ないわ) そんなコレットの悲しげな表情をヴァンに見られていたとも知らず馬車は次の場所へ。 アクセサリーと髪飾りを選んでいても先ほどの言葉が頭を過ぎる。 しかしヴァンに心配を掛けてはいけないと、コレットは無理矢理、笑顔を作っていた。
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