三章

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(どなたかしら……) ヴァンの父親代わりのゼゼルド元侯爵は亡くなっている。 結婚の書類が手元にあるということは、ヴァンの結婚相手であるコレットの顔を見に来て、どんな人物かを確かめてきたのではないかと予想していた。 「…………え?」 しかし実際に目の前にいる二人の少女の姿を見て、コレットは驚いて動けなくなるほどの衝撃を受けた。 「コレット様……っ!?」 「ああ、よかった!無事だったのね!?」 「……嘘っ、まさか」 コレットの目に涙が浮かぶ。 二人の少女はコレットの心の支えとなり、ミリアクト伯爵邸にこもっていて会えない間も、ずっとコレットを気にかけてくれた大切な友人たちだった。 「アレクシア様、エルザ様……っ!」 コレットは名前を呼んでから二人を思いきり抱きしめた。 久しぶりに会えた嬉しさや安心感から涙が溢れてくる。 「コレット、会えてよかったわ!ミリアクト伯爵家を除籍されたと聞いて、わたくし居ても立っても居られなくて、エルザとあなたのことを探したの!」 「でも見つからなくて……!もしかして何かあったんじゃないかって……もう会えないかもしれないと心配していたのっ」
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